スペシャルインタビュー
【特別対談】JAHA会長 × 専務理事 × 学術委員
企業の社会性が問われる世の中になってきました。これからの動物病院に必要なものは何でしょうか?
「JAHA就活マガジン」(学生向け就職情報誌・2022年度版)にも掲載された対談内容をスペシャルコンテンツとしてご紹介します。

動物病院を、一生涯安心して働ける職場に
- 篠田:
- 臨床3年目頃から自分を信頼してくれるご家族の方が増え、病院の仲間との絆も深くなり、臨床がどんどん楽しくなりました。出産・子育てを経験してからは人生観や獣医師としての考え方が大きく変わりましたね。出産はステップアップの機会でもある一方、仕事ができなくなる期間ができるのでそこを心配する方は多いですよね。
- 上野:
- 女性の出産を含め、一生涯を通して安心して働ける環境づくりが動物病院には求められていると思います。私の病院では、スタッフのライフステージの変化に合わせて病院全体で働き方を調整できるよう、ワークシェアリングなどの制度を導入してきましたが、出産を希望する方もそうでない方も、皆が気持ちよく働ける職場にしたいですね。
- 川田:
- 出産・子育てに関して女性が悩む原因には、動物病院側が「男性が育児に関わる環境を整備してこなかった」ということも根底にありそうです。最近は男性スタッフが育児休暇を取ることも増えましたが、男性が女性に合わせる文化を醸成する必要があると思います。
- 篠田:
- 出産は女性だからこそ経験できる貴重なものです。私自身、出産や育児を通して、初めて動物を飼う飼い主の不安な気持ちや動物を子供のように可愛がる飼い主の気持ちを、より汲み取れるようになりました。獣医療という素晴らしい仕事を、子育てを理由に諦めて欲しくないです。
- 川田:
- JAHAは認定動物病院制度や各種認定制度を整備していますが、獣医療関係者がこの業界で一生涯働ける環境を作るという点でそれらの取り組みはとても有意義だと考えています。安心して働ける土台があれば、人材の流動性も出てきて、医療の均質化にも寄与することになるでしょう。

動物病院にはタイプがある。 必ず実習で見定めて就職して欲しい
- 上野:
- これまでこの業界では、動物病院は「開業院長のもの」として捉えられてきた部分が多かったように感じます。そんな中、動物病院を「私たちのもの」として院長とスタッフが同じ視点を持って働くことを目指す病院も増えてきています。
- 川田:
- 技術が売りの病院では、病院は「開業院長のもの」感が強くなりがちですが、そのような病院の中には獣医療として光り輝くものがあるのも事実で、動物病院としてどちらが正しいと言えるものではありません。社会にとって自院の価値を最大化する組織作りを応援する、というのがJAHAの存在意義じゃないかな。
- 篠田:
- 私は就職活動時代にJAHAのJAHA認定内科医やJAHA認定外科医がいる動物病院を回っていたのですが、5年後この病院で働けているのかという視点を持っていました。共に働くスタッフが変わることはあっても院長は変わらないので、院長を尊敬できるかどうかは大きなポイントになると思います。
- 上野:
- 最後に、今の学生さんに就活を進めるうえでのメッセージがあれば頂戴できますか?
- 篠田:
- 最初の就職先は今後の働き方に影響を与える大事な場所です。少しでも興味を持った病院にはぜひ実習に参加してみてください。私の場合、実習時に生まれた繋がりは今でも続いており、たくさん参加してよかったと思っています。
- 川田:
- 病院探しで大事だと思うのは、労働条件などのコンプライアンスを遵守しており、院長が尊敬できて、フィーリングが合うか。つまり、JAHAの会員病院ってことですね(笑)。
